Vol.108-1
平成20年4月号
 

『発想がズレてきたと感じたら、現場に戻れ。』

以前、わたしはある新サービスを開発し、それをテスト的に告知してみたことがありました。しかしその反響は、わたしの予想をはるかに超える悪いものでした。
そこでわたしは、立ち止まりました。「ちょっと待てよ」と。何かがおかしいぞ、と。

そして胸に手をあててよ~く考えてみました。すると、その新サービスは対象者となる人たちを想定して考えたつもりでしたが、実際は心の奥底で「自分の売上をつくりたい」というわたしのエゴが支配していたことに気づいたのです。対象となる人たちが、何を求めているのかを皮膚感覚で感じ取ることをすっ飛ばして、頭で考えて「これならイケる」と決めつけていたのです。

経験上、このように自分のエゴをベースに考えたアイデアはほとんどうまくいきません。

「発想がズレてきているんじゃないか?」

そう感じたわたしは、もっと現場と接する機会を増やす決意をしました。
「わたしがお客さんとしてお付き合いしたい人たちは、ふだん何に困っているのか?」
「何をすると喜んでもらえるのか?」
を直接聞く機会を増やすことにしました。いつもお付き合いしているクライアントに限らず、その候補になりそうな人にはなるべくお話を聞くようにしました。講演で招いていただいたら、主催者の悩みを聞いたり、参加者の相談に乗ったりしました。ホームページを通しての問い合わせも、いつもはパートナーに任せることも、わたしが自分で対応してみました。

そのうち、だんだん何をわたしに期待してくれているのかが見えてきました。それは言葉にしてしまえば、元々わたしが以前からやってきたことと何ら変わりないことでした。ただ、わたしが活動の範囲を広げていく中で、本来やるべき軸がぼやけてきつつあったので、その原点に戻るきっかけになりました。そして、わたしはこのときカラダで学びました。
「発想がズレてきたと感じたら、現場に戻れ」
それが再び軌道に乗るための近道のようです。