Vol.109-1
平成20年5月号
 

『イメージ力UPの公式=対話量×経験量×好奇心』

今でこそ、わたしは「ビジョンを描こう」「理想をイメージしてみよう」と人に言っていますが、ほんの十数年前の社会人になりたての頃は、いくらイメージしようとしても頭の中に映像が浮かぶことはほとんどありませんでした。成功哲学本を読むと、「イメージしたことが現実化する」と言うし、スポーツ同様、本番前にイメージしないと不安で仕方がなかったのですが、どうしてもイメージができない。言い方を変えると、先を読む力がなかったのです。そのため、はじめは無理やり言葉を紡いで、それを自分に思い込ませていたわけで、今思えばわたしの言葉には臨場感や説得力がなかったように思います。

そんなわたしが、「なぜ、今ではさほど苦労もなく先のイメージができるのか?」と振り返ってみました。その答えはずばり、「経験量」の引き出しが増えたからです。でも、はじめは誰もが経験量は少ないものです。そこで今すぐできることは、自分にない経験をした人との対話量を増やすこと。そしてそれらを積み重ねるうちに少しずつ興味がわくものが見つかり、好奇心が開発され、磨かれる。そして、好奇心が経験量を引き上げていく。
つまりイメージ力は、「人との対話量」「経験量」そして「好奇心」の相乗効果で磨かれていくということです。

もともと好奇心旺盛な人は、それを原動力にして人に尋ねたり、調べたり、実践したりとどんどん行動を起こしていけるのでしょうが、誰もがはじめからそうだとは限りません。社会人になりたての頃のわたしのように、はじめは好奇心がそれほど高くない人でも、まずは対話量を増やし、経験を積み重ねていくうちに、気がつくとある分野においては好奇心が高まり、さらに経験したくなる中で、イメージ力は磨かれていくことを知りました。
そして、ひとつの分野で深く掘り下げてイメージできる力が身につくと、不思議とそれは全く関係ない分野のことでも応用できることもあるようです。スポーツの超一流選手が超一流ミュージシャンとの対談でものすごく話がシンクロして盛り上がる場面を見たことがありますが、それは自分の領域でトコトン深掘りして考え抜いて生きている者同士だからこそ、お互いの話が手に取るようにイメージできるからでしょう。
イメージ力を磨くはじめの一歩。対話量を増やすことから始めてみては?