Vol.110-2

平成20年6月号
 

『自立タイプの依存と、依存タイプの依存の違い。』

開発援助を受けることと経済開発を成功させることは、逆の相関関係にあった。開発援助を多く受けた国では、経済はほとんど発展しなかったか、かえって悪化した。ちょうど国内の福祉と同じように、開発援助という名の福祉の受給国は、援助されるほど発展できなくなった。

(『歴史の哲学』 P.F.ドラッカー 著 ダイヤモンド社 P.182より引用)

先日仲間とのミーティングで、「自立型のクライアントと依存型のクライアント」の定義について話し合ったときのこと。

我々ユメオカやワニマネジメントは、「自立型クライアントが多い」と認識しています。
それは、我々のコンサル・スタイルは、クライアント自身のビジョンを起点にして形作っていくため、「これをやりたい!」という意志を持つクライアントでないと機能しないからです。逆に受け身で「売上がラクにつくれる秘策を教えてもらいたい」という人はわたしたちのサービスには向いていません。

ところが先日、この「自立と依存」の定義の解釈が、仲間内でも微妙に違っていることに気がつきました。

「自立型とは、どこまで自立している人をさすのか?」
「依存することは、本当にNGなのか?」
「でも本当に自立している人なら、そもそもコンサルタントは必要ないのではないか?」
と、「自立型クライアント」って何なのか、訳がわからなくなりそうです。

わたしはその会話を聞きながら、あらためて定義が明確になった気がしました。
わたしたち専門家を有効に活用される「自立型クライアント」とは、

  • 最終的には自分で決断できる。よって、精神的には自立している。
  • ただ、すべてに万能ではなく、社員との関係づくりやお金の流れの把握など、苦手なところはある。よって、そこを「専門家の力を活用する」ことで、役割としては依存している。

つまり、ひと言で言うと「常に主導権を握っている人」が自立的な人であり、他人の協力を借りることがあっても、それは依存ではなく活用と表現したほうがしっくりきます。
なんだか禅問答みたいになってしまいましたが、ときに日ごろ頻繁に使っている言葉の定義を見直すことって、大切だなと思いました。